秋晴れの清々しい天候に恵まれ、11月4日に<初級コース>第1回講座「京友禅とは何か?」を行いました。
前半は、きものの歴史的背景や友禅の登場までを学んでいただきます。
こちらで配布した冊子をもとに時代を追ってお話ししながら、絞りや刺繍の施された裂資料も見ていただきました。当時の身分階級や社会の制約等できもの文化がどのような影響を受け変化してきたのか、三大友禅といわれる江戸・加賀と京友禅との違いや、京友禅の分業体制の仕組みについてお話ししました。
後半は、より実物を多く取り扱いました。
はじめに、表装も友禅染で表現された軸を広げます。生徒の皆さんに天眼鏡を回してじっくり、細部まで観賞していただきます。その細やかさに皆さん声を上げ、いったいどうやって描いたのか、今でもしっかりと残っている色彩はどれほどの鮮やかさをもっていたのか、制作当時の状況を頭の中でめぐらせながら盛り上がりました。メインの絵の部分だけではなく、縁の柄など隅々まで楽しんでいただけました。
最後に、弊社の商品を広げ、商品づくりに対するこだわりときものの見方について少しお話ししました。
弊社のこだわりは、商品になると一見目立ちません。場合によっては言われてから気づくような点もあります。だからこそ、友禅の知識をつけることでそのこだわりが伝わりやすくなり、お客様が自分自身で確かな価値を見極められるように。本講座はその役に立てるよう努めてまいります。
今回は、ほとんどが初めてお会いする生徒さんだったために最初は緊張感ある雰囲気でしたが、資料など実物を見せる度に空気が柔らかくなり、無事に講座を終えることができました。ここでも実物の持つ、見る者を魅了する力を思い知らされるのでした。
また 休憩時には、黒留袖や色留袖に関するイメージ、経験談を聞くことができました。わかっているつもりでも、やはり着物をお召しになる方の生の声を聞くと、どのような姿勢できものの制作に向かうべきか改めて考えさせられます。他には紋に対する話題も出て、中級コース初回講座でも本話題が出ていたので、着物をお召しになる方は誰もが一度は気にする事柄であると感じました。相手に失礼にならないよう、正しく敬意を示せるよう、私たちも実用的な知識を深めていきたいと思います。御来講ありがとうございました。
次講座<初級コース>第2回「構図とその表現」では職人さんをお呼びしております。どうぞお楽しみに。
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